【コラム】「非嫡出子」と「嫡出子」の相続分は同じですNo.2

2015-05-19

今回は、非嫡出子と嫡出子の相続分が同じとなるよう法改正が行われた背景と平成25年9月5日より前に相続が発生した場合のお話です。

 

1.法改正の背景

もしかしたら、このコラムをお読みの方の中には、前回のストーリー2では、太郎さんは花子さんと結婚していながら、月子さんとの間にも子を授かったのだから、花子さんとの子と、月子さんとの子が同等の相続分というのはおかしいのではないか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、子は、親を選んで生まれてくるわけではありません。子にとってみれば、生まれてきてみたら、たまたま両親が結婚していなかったというに過ぎません。

また、現在の日本では「婚姻、家族の形態が著しく多様化しており、これに伴い、婚姻、家族の在り方に対する国民の意識の多様化が大きく進んでいることが指摘されている」と今回の法改正のきっかけとなった判決(最高裁平成25年9月4日判決)で述べられています。

 

ストーリー1では、月子さんとの間に子を授かった時点で、太郎さんは法律上は独身です。月子さんとの子にも、花子さんとの子と同じ相続分を遺したかったら、月子さんと法律上の結婚をすれば良いのではないか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、現在の日本では、法律上の結婚をすると、夫婦どちらかの姓に統一しなければなりません。日本では結婚すると女性が姓を変えることが殆どですが、月子さんが、生まれてから今までずっと慣れ親しんできた姓を変えるのは、月子さんにとってはアイデンティティーを失うことになるのかもしれません。

もしかしたら、月子さんは外国籍で、法律上の結婚をするとなると複雑な問題が出てきてしまい、法律上の結婚をしたくても、なかなか難しいのかもしれません。

このように、現在の日本では、夫婦のあり方や家族観に対する考え方の多様化が進み、国民の意識も画一的ではありません。このような背景から、上記の判決が出され、法改正も行われたのです。

 

2.平成13年7月1日から平成25年9月4日までに相続が発生した場合

前回のストーリー1・2いずれにおいても、太郎さんが亡くなった(相続が開始した)のが、平成25年9月5日より前であれば、今回の法改正は直接には影響しません。嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分と同等にするという改正法は、平成25年9月5日以後に開始した相続について適用するとされているからです。

 

 ただし、平成25年9月5日より前であっても、太郎さんが亡くなったのが平成13年7月1日以降で、まだ遺産分割の合意や遺産分割に関する裁判所の審判等が行われていない場合には、最高裁判所の判断に従った処理が行われます。つまり、平成25年9月5日より前の相続であっても、「遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により」法律関係が確定的なものになっていない限りは、嫡出子と非嫡出子の相続分は同じというルールのもとに処理されることになります。

 

遺産分割について、相続人間の話合いで解決しない場合には、家庭裁判所での遺産分割調停などの方法があります。親族間での紛争は、関係が深いからこそ感情が対立してしまい当事者同士では解決し難い場合があります。その場合には、弁護士を代理人に立て、冷静な交渉や調停などにより解決の糸口を見つけるのが良いでしょう。

以上

 

 

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