【コラム】お墓やお仏壇の相続について

2015-07-15

1「お墓やお仏壇のご相続」に関するご相談

 「父が亡くなって、私たち兄弟3人が相続人になりました。四十九日の法要も終わりましたので、遺産分割協議をすることになりました。しかし、一番上の兄は、自分が先祖代々のお墓や仏壇の面倒を見てもよいが、御祭りや法事に費用がかかるので、自分1人で父の財産のほとんど全てを相続すると主張して話合いは平行線になっています。私自身、お墓やお仏壇の面倒を兄が見てくれるというので安心している部分もありますが、遺産相続の割合には腑に落ちないところがあります。このような兄の主張は理由があるものなのでしょうか。」

 遺産相続に関連して、このように「お墓やお仏壇のご相続」に関するご相談を受けることがあります。

2祭祀財産の承継のポイント

(1)祭祀財産の種類

 お墓やお仏壇のような、祖先のお祭りのために使用される財産のことを専門用語で祭祀財産と言い、祭祀財産には系譜・祭具・墳墓という種類があると考えられています。

系譜というのは、先祖代々の血縁関係について書き表した図等のことで、家系図を描いた巻物をイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。

祭具というのは、先祖のお祭りに使う道具のことで、身近な例ですと仏像・位牌や仏壇、神棚等がこれに当たります。

墳墓というのは、遺体・遺骨を葬るための設備のことで、具体的には墓碑や棺、墓地がこれに当たります。

(2)祭祀財産の承継

 上記の祭祀財産は、被相続人の遺産とは別のものであり、承継者を決める手続きも異なります。

まず、被相続人による指定があった場合は、その指定どおりに決まります。指定の方法は、遺言書等の書面による方が後々になってもわかりやすいですが、被相続人が誰に祭祀財産を承継させるか口頭で告げることによってもすることができます。

次に、被相続人による指定がなかった場合は、地域の慣習に従って、先祖のお祭りを主催する人が承継します。

最後に、もし地域にそのような慣習がない場合は、家庭裁判所が誰に承継させるかを決めます(民法896条、897条)。

 民法がこのような規定になっていますのは、祭祀財産を遺産と同じように相続人の間で分割してしまうと、祖先のお祭りのために使用することが困難となり、祭祀財産としての性質が損なわれてしまうからです。

(3)祭祀財産の承継と遺産相続

 ここまでご説明してきましたとおり、祭祀財産の承継と遺産の相続は、法律上、別個の手続きによって決まるものです。

そのため、相続放棄をした者であっても、先祖のお祭りを主宰する者として祭祀財産を承継することができます。また、祭祀財産は遺産ではありませんので、祭祀財産を承継したとしても、それによってその人の相続分に影響が生じることはありません。(税金面では、祭祀財産の承継によって相続税が課されるということもありません。)

したがって、ご相談いただいたような場合ですと、遺産の分割と相続財産の承継は別個の問題ですので、相談者のお兄様の主張には正当な理由がありません。

もっとも、被相続人によって先祖のお祭りを主宰する者が指定された場合には相続人は辞退することができませんので、相続人の間の協議で、祭祀財産を承継する者の負担を考慮した遺産の配分をすることもできます。

3終わりに

 以上ご説明してきましたとおり、一見しますと遺産相続と祭祀財産の承継は密接な関連があるように思えますが、法律上は別個のものです。

 祭祀財産の承継にお悩みがある場合には、相続のご相談と一緒に弁護士にご相談下さい。

弁護士は、遺産相続の専門家ですので、祭祀財産の承継を考慮した遺言書を作成することにより、ご存命中に死後の相続トラブルが生じることを未然に防止することができます。また、弁護士は、交渉の専門家でもありますので、祭祀財産の承継を遺産分割協議の中で交渉によって解決することもできます。

 

 

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