【コラム】ゴルフ会員権の相続

2015-05-19

ゴルフ会員権を持っていると、プレーする権利である(1)「施設利用権」と、預け金の返還を受ける権利である(2)「預託金返還請求権」を持つことになります。会員制のゴルフクラブでは、通常、預託金制をとっています。預託金制とは、入会時に、一定の金銭を預託金(名称は、「保証金」等の場合もあります。)として預けることで、ゴルフクラブの会員となり、ゴルフ施設を利用でき、一定期間経過後は預託金の返還を求めることができる制度です。つまり(1)施設利用権と(2)預託金返還請求権がいわゆるゴルフ会員権の内容です。

 

このようなゴルフ会員権も、相続の対象となるのでしょうか。

 

相続は、原則として亡くなった人の一切の権利と義務を承継するものです。当然、契約上の地位も相続します。たとえば、不動産を買った人が購入代金を払った後、不動産の引渡しを受ける前に亡くなった場合には、相続人は、不動産の引渡しを受ける権利を相続します。

同様に、ゴルフ会員権も、契約上の地位として、当然に相続人が承継するように思えます。

 

-まずは、規約の確認を!-

 しかし、ゴルフクラブの会員規約には、会員が死亡した場合には会員資格を喪失する旨の定めがあることがあります。その場合には、会員権は相続されないとするのが最高裁判所の判例です(最高裁判所昭和53年6月16日判決)。ただし、預託金の返還請求は可能です。

 

 また、最高裁判所の判例(最高裁判所平成9年3月25日判決)では、ゴルフクラブ会員規約で会員が死亡した場合の取扱いについて規定がない場合に、別途規約に会員権の譲渡についての定めがあれば、譲渡に準じた手続で相続人が会員権を承継することができるとしています。この場合、会員権の譲渡規定としてゴルフクラブの理事会等による審査・承認が必要と定められていることが多いので、規約の手続きに沿って、相続人を譲受人として理事会による審査・承認を受けることで、会員権を取得することができます。

 ただ、相続人が複数いる場合はスムーズにいくとは限りません。相続人が複数いる場合は、法律上、相続した権利は複数の相続人の共同行使となります。しかし、1つのゴルフ会員権を複数人で共同行使をすることをゴルフクラブ理事会が認める可能性は低いでしょう。したがって、まず遺産分割をして、ゴルフ会員権を相続人1人が相続することとし、その相続人を譲受人としてゴルフクラブに譲渡の審査・承認の手続を求めることが妥当といえます。

 

-ゴルフをしない場合には?-

 もっとも、相続人の誰もゴルフをしない場合、ゴルフ会員権を持っていても使い道がありません。通常、預託金の払戻しにうつることになります。

しかし、会員が死亡した場合に、相続人がゴルフ施設を使用しないからといって、すぐに預託金の返還を請求できるとは限りません。最高裁判所の判例では、このような場合、預託金の据置期間満了まで返還請求をすることができないとされています(最高裁判所平成9年12月16日判決)。

据置期間満了前に預託金の返還を受けたい場合は第三者にゴルフ会員権を売却し、預託金の返還に類する効果を得るという方法をとることになるでしょう。

また、会員規約上、死亡により会員資格を喪失するとされている場合は、死亡時から相続人による預託金の返還請求は可能であると考えられています。

 

 ゴルフクラブ会員権については、手続きについてはなじみのない方が多いと思います。ゴルフ会員権の売買は、通常は、市場を通じて行われます。そのため価値は市場次第ですし、そもそもすぐに買い手が付くかも分かりません。遺産分割により、相続人の一人がゴルフ会員権を相続したところ、思っていた程の価値がなかったということにもなり兼ねません。また、一度遺産分割をしてしまうと、それを覆すことは非常に困難になります。ゴルフ会員権をはじめ、直ちに売却することができない財産があるなど、相続が発生した場合には、遺産分割をする前に、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2014 早稲田リーガルコモンズ法律事務所(遺言相続) All Rights Reserved.