【コラム】寄与分の計算方法

2015-07-07

1 寄与分の計算方法

 寄与分は、法律でその計算方法が決まっているわけではありません。ただし、これまでの裁判の積み重ねから、寄与分の計算方法は実務上ある程度固まっており、だいたいの目安を把握することができます。どのような形で相続人が被相続人に寄与をしたのかに応じて計算方法が異なりますので、以下、具体的に見ていきます。

 

(1)被相続人への労務の提供型

  被相続人が営んでいた事業に、無報酬又はこれに近い状態で従事していた場合がこれにあたります。この類型は、さらに細分化されて、①家業従事型、②従業員型、③共同経営型があります。

① 家業従事型、② 従業員型

  寄与分額=寄与者の受けるべき相続開始時の年間給与額×(1-生活費控除割合)×寄与年数

  複雑な式で、あまりイメージがわかないと思いますが、親の会社を5年ほど手伝っていたが、お小遣い程度しか給与をもらっていなかったといったケースがこれにあたります。まず、本来であれば年にこれくらいは給与として支払われるべきという額を決めます。仮にこれが500万円だとすると、500万×(1-生活費控除割合(だいたい0.5くらいが相場です))×5年ということで、1250万円が寄与分ということになります。

 ③ 共同経営型

  寄与分額=(通常得べかりし報酬+利益配分)-現実に得た給付

  家業に共同経営者として参加していたが、家族ということもあって報酬が安めだったというような場合です。利益配分とは、例えば持っていた株の配当などがこれに当たります。

 

(2)被相続人への財産の提供型

  被相続人に対し、相続人が財産を渡したという、一番ストレートな寄与分のパターンです。

  どのような財産をいかなるかたちで提供したかによって、計算式は異なります。

  ①不動産取得のための金銭贈与の場合

   寄与分額=相続時の不動産価額×(寄与者の出資金額÷取得時の不動産価額)

   親が土地を買う場合に、子が購入費用を援助したといったケースがこれにあたります。仮に、購入価額2500万円、土地の購入にあたって500万円を子が支払い、相続時には土地が3000万円まで上がっていたという場合は、600万円が寄与分となります。

  ②不動産贈与の場合

   寄与分額=相続開始時の不動産価額×裁量的割合

  ③不動産の使用貸借の場合

   寄与分額=相続開始時の賃料相当額×使用年数×裁量的割合

   使用貸借とは、無償で家などを貸すことをいいますので、仮に賃貸借であれば賃料はいくら位になるかを検討した上で計算していきます。

  ④金銭贈与の場合

   寄与分額=贈与当時の金額×貨幣価値変動率×裁量的割合

 

(3)被相続人の療養看護

  介護の必要な被相続人に対し、相続人が介護を行っていたといったケースがこれにあたります。①相続人が実際に療養看護を行っていた場合と、②第三者に療養看護をさせ、その費用を相続人が負担していた場合が考えられます。

  ①実際に療養看護を行った場合

   寄与分額=介護福祉士・ヘルパーの日当額×療養看護日数×裁量的割合

   相続人が介護を行った場合の寄与分の計算は、介護福祉士・ヘルパーを雇わずに済んだことによって、被相続人の財産の流出を防げたことを寄与と考えます。そこで、この介護福祉士・ヘルパーの日当額を基準として計算がなされます。介護福祉士・ヘルパーの報酬は介護報酬基準額をもとに計算されますが、相続人がこれを職業とはしていないことを考慮して、報酬基準額の7~8割程度の額となることが多いようです。

  ②第三者に看護させ、子が費用負担した場合

   寄与分額=費用負担額

   この場合は、介護福祉士やヘルパーを雇うのに費やした費用がそのまま寄与分となると考えられています。

(4)裁量的割合とは

   これまで見てきた計算式には、裁量的割合という言葉が何回か出てきました。

   これは、裁判所が個々の事案に応じてバランスを取るために判断するものであり、被相続人との身分関係、相続人が失った収入などを考慮して判断されます。

 

 

 

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