【コラム】寄与分

2016-12-15

 

相続が発生すると、①相続人の調査、②相続財産の調査、③相続分の確定、という3つの大きなステップを踏むことになります。③相続分の確定の場面では、相続人間で調整が必要な場合があります。具体的には、被相続人から特別の利益を受けていた相続人がいる場合(特別受益の問題)」と相続財産の維持又は増加に特別の寄与がある相続人がいる場合(寄与分の問題」などの場合、公平の観点から受益や寄与を適切に評価し、財産の相続時に調整をする必要があります。本コラムでは、「寄与分」について整理していきたいと思います。

 

1 「寄与分」の計算方法

 寄与分が想定されている場面は、①相続人が被相続人の事業に協力し親の財産形成に貢献してきたような場面、②相続人が被相続人の介護や看護をすることでケアサービスなどの費用を抑え財産維持に貢献してきたような場面、が法律では典型的に想定されています(民法904条の2第1項)。

 寄与分の計算方法は、寄与者の相続額は、(相続開始時の財産価格-寄与分の価格)をみなし財産とし、みなし財産×相続分+寄与分の価格となります。

2 「寄与分」の要件

 まず、寄与分は、単に相続人が被相続人のお世話をしていたからといって認められるわけではありません。寄与分が認められるためには、①事業や看護などの寄与行為が存在すること、②寄与行為が被相続人との身分関係において通常期待される協力、援助を超えた程度であること、すなわち「特別の寄与」といえること、③相続人の寄与行為が相続人の財産の維持または増加させたこと、が必要とされています(民法904条の2第1項)。

まず、要件①にあたる寄与行為の類型としては、大きくわけて5つあります。これに従って、被相続人への貢献・協力を整理することが有用です。

(ⅰ)被相続人のために家事労働をしてきた類型

(ⅱ)被相続の事業のために出資や借金返済をした類型

(ⅲ)生活費を渡してきた類型、

(ⅳ)看病や介護をしてきた類型

(ⅴ)財産を管理してきた類型

次に、要件②の「特別の寄与」は、通常期待される程度の協力・援助を超えている必要があります。ここに通常期待される程度の協力・援助とは、民法が定める夫婦間の協力扶助義務、親族間の扶養義務のことをいいます。親族として当然の協力・援助を超えて、通常期待される程度を超える程度と評価されるかは、それまでの人的関係や頻度、対価性がない、期間などを総合的にみて判断されます。

例えば、単に、被相続人を介護していた事実、被相続人の病院への送迎をしていた事実などはこれにあたりません。療養看護の例でいえば、重い老人性痴ほう症の被相続人を10年にわたり看護してきた事例などが「特別の寄与」にあたると判断されました(盛岡家庭裁判所昭和61年4月11日家月38巻12号17頁)。

 

3 寄与分の財産評価

 寄与分の主張は、相続分の決定の場面、つまり相続財産を分けた時に各相続人がどれぐらいの相続財産を取得できるか、という場面で機能します。そのため、事業への資金提供や財産給付など寄与行為について金銭的評価が容易である場合には、それに基づいて判断されることになります。他方で療養・看護などの家事労働や家業への労務提供は、金銭的な評価が容易ない場合には、全財産に対する割合で定める方法や具体的な金額をもって算定する方法をもって判断されることになります。

 

4 裁判所での調査官による寄与分調査

 このように、寄与分の主張は、相続人と被相続人との間の関係を個々に見ていくことになります。そのため、他の相続人が知らぬところの事実が出てきたりして、言い分がぶつかり、協議がまとまらない場合が起こりえます。

 遺産分割協議の調停を申し立てた場合、裁判所は、事実の調査や評価について家庭裁判所調査官による調査を行うことがあります。裁判官が調査官による調査を命じた場合には、調査官が既に提出されている書面や資料をもとに調査をし、分析・評価し、報告書を作成します。

 遺産分割調停が成立しない場合、裁判所が審判という最終的な判断を示しますが、上記調査報告書は、1つの判断資料として重要な役割を担います。

 

5 まとめ

 このように、寄与分は、人的関係や期間、対価性がないことなどを総合的に判断していることが求められます。適切にご自身の主張をするためにも、弁護士にご相談ください。

 

 

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