【コラム】死亡退職金の相続

2015-10-19

1 退職金とは

  退職金は、在職中の功績をたたえて退職時に勤めていた本人が受け取るのが通常です。

しかし、会社在職中に本人が亡くなってしまった場合には、本人は退職金を受け取ることができません。定年間近で本人がお亡くなりになってしまった場合と、定年直後にお亡くなりになってしまった場合で取り扱いが異なってしまうのでしょうか。

 

2 死亡退職金とは

実は、本人が会社在職中に亡くなってしまった場合でも、ご家族に退職金が遺族に支給される場合があります。これが、死亡退職金です。

また、家族や兄弟で経営している会社であれば、定年のない役員が亡くなるまで在籍し、退職金が死亡退職金となるような場合もあります。

では、どういった場合に死亡退職金が支給されるのでしょうか。

死亡退職金が遺族に対して支給されるには、まず、故人が退職金を受け取れる地位になければなりません。会社の就業規則(会社で働く際のルールを定めたもの)には、一般的に、「勤続◯◯年以上の労働者が退職又は解雇された時は、退職金を支給する」などと書いてあります。さらに、一般的な就業規則には、「退職金は、支給事由が生じた日から、○○ヶ月以内に、退職した者(死亡による退職の場合はその遺族)に対して支払う」などと記載されています。この、「死亡による退職の場合はその遺族」という記載が、死亡退職金が遺族に支給される根拠となります。

 

3 死亡退職金が相続財産となるかどうか

(1)死亡退職金を誰が受給するか決まっている場合

   就業規則などで、あらかじめ死亡退職金を誰が受給するかが決まっている場合を考えてみます。この死亡退職金は、相続財産には含まれません。あくまで指定された受取人個人の財産となるのです。したがって、決まっている受給者が原則的には全てもらうことができますし、相続放棄をしても受給できます。国家公務員の死亡退職金も、相続財産になりません。地方公務員も多くは同じ扱いです。

そうすると、相続で問題は生じないようにも思えますが、実はここに落とし穴があります。

お亡くなりになった方の相続人が複数いて、そのうちの1人に対して、1億円の死亡退職金が支払われた場合を考えてみましょう。この場合、お亡くなりになった方の自宅、預貯金などの相続財産が全体で5000万円だったとすると、5000万円の相続財産を相続人で分割すると、1億円の死亡退職金を受け取った人のみが実際には多くの財産を得てしまうこととなります。これは不公平だということで、法律では、1億円の死亡退職金を受け取った人には特別受益があるとして、5000万円の相続財産を分割する際、取り分を調整するということが行われます。

(2)死亡退職金を誰が受給するか決まっていない場合

   この場合は、退職金には、給与の後払的性格があるとして、未払賃金と同様に考え、相続財産となると考えられています。

ただし、(1)のような形で就業規則を作成している会社が一般的です。勤め先の就業規則を確認しておくことが、必要になります。

 

 

4 死亡退職金への課税

  相続財産とならない死亡退職金でも、相続税の対象となる場合がありますので注意が必要です。

  法律上、退職手当金等を遺族が受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の対象となります。受け取る人が相続人であれば相続財産として、相続人でない場合は遺贈によって取得したものとみなされる扱いとなっています。

 

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