【コラム】相続欠格について

2015-04-23

1 「遺言書を隠したら[捨てたら?]どうなるの?」

「私の兄は、父と折り合いが悪く長年絶縁状態にあり、父は常々、『財産は兄にはやらん』と言っていました。しかし、父が昨年死んだ後、兄は突然父の葬式に来て、『今までの親不孝を償いたい』と葬式その他様々な手伝いをしていきました。私は、父の意向を知っていましたが、兄が熱心に葬式の手伝い等をしてくれたこともあり、兄弟で相続分に応じた遺産を相続しました。ところが、後日になって兄が、一切の財産を私に相続させる旨の父の遺言書を発見し、自己に不利になると考え遺言書を捨てていたことがわかりました。兄弟とはいえ、父の財産を目当てに突然帰ってきた上、父の遺言書まで捨てた兄をどうしても許せません。兄に対して何か請求ができないでしょうか。」

このような場合には、相続人となることができる者であっても、財産を相続する権利を失うことがあります(相続欠格)。

本件でも、相談者の兄は、相談者の父の財産を相続する権利を失う可能性があり、その場合には、相談者の兄が相続した財産を取り戻すことができます。

以下では、相続欠格の制度についてご紹介します。

 

2 相続欠格(民法891条)

 相続欠格とは、本来相続人となることができる者が、不正な行為をした場合に、裁判等の法的な手続を経ることなく、その者の相続する権利を失わせる制度です。

そして、被相続人の遺言書を捨てたり、偽造したりすることは、相続欠格となる不正な行為の例として挙げられています(同5号)。

もっとも、この場合、偽造等の行為が、相続に関して不当な利益を得ることを目的としてなされたことが必要であると判例上考えられています。例えば、偽造等の行為の目的が、遺族間のトラブルの発生・拡大を防ぐことにあった場合や被相続人の意思実現のためであった場合には、相続欠格にあたらないと考えられています。

本件では、相談者の兄は、遺言書に自分の相続する財産の記載がなく気に食わなかったので、被相続人である父の遺言書を捨てています。これは、自分の相続する財産を増やすという不当な利益を得ることを目的として、相続に関する被相続人の遺言書を破棄したと言えますから、相談者の兄は父の相続人となることができません。

相談者は、相談者の兄が相続した財産について、その財産を相続する権利を侵害されていますから、相続財産の回復を請求することができます。

なお、相続欠格となった者に子がいる場合は、その子が相続欠格となった者に代わって相続人となり、相続欠格となった者が相続した財産を取り戻すことはできませんので、ご注意ください。

 

3 最後に

既に説明いたしました遺言書の破棄や偽造のほか、故意に被相続人等を殺した場合や詐欺等によって自分の思うとおりの遺言をさせた場合にも相続欠格となることがあります。思い当たる事情がある場合には、相続の専門家である弁護士にご相談ください。

弊所の弁護士は、相続に関して幅広く多くの経験を積んでおり、適切なアドバイスをいたします。

 

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