【コラム】相続法に改正の動き(前半)

2015-09-01

1 相続法制検討ワーキングチームの報告書

  今年(平成27年)の2月に、法務省が設置した相続法制検討ワーキングチームの報告書が公表されました。

  このワーキングチームは、嫡出子と非嫡出子に関する、平成25年9月4日の最高裁判決で、民法900条4号が、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1と定めていたことは違憲だと判示されたことを受けて、民法を改正する際に、相続法全般について見直しの声があがったことをきっかけに設置されたものです。ちなみに、嫡出子と非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある夫婦の子(嫡出子)と、そうでない男女の間の子(非嫡出子)のことです。

  この報告書で指摘されている事項は、これからの相続法改正に反映される可能性が高いと言えます。本稿では、その内容を大まかに紹介します。

 

2 報告書で検討されたテーマ

  今回検討されたのは、①配偶者の一方が死亡した場合に、もう一方の配偶者の居住権を保護するための措置、②世話をしていた配偶者の貢献を遺産分割に反映するための法定相続分の見直し、③寄与分制度の見直し、④遺留分制度の見直しという大きく分けて4つのテーマです。本稿では、①と②について紹介し、③と④については次のコラムでご紹介いたします。

 

(1)配偶者の一方が死亡した場合に、もう一方の配偶者の居住権を保護するための措置

   2人暮らしの夫婦で夫が亡くなった場合、夫と長い間一緒に暮らしてきた妻は、これまで一緒に住んでいた家に引き続き住みたいと思うことが多いと思います。

   しかしながら、現在の法制度では、必ずしも妻が一緒に住んでいた家に住み続けることができる制度にはなっていません。つまり、夫と一緒に住んでいた家は妻だけでなく子どもも相続することとなるので、子どもとの間でいさかいが起きて妻が住み続けることができなくなってしまう場合があるのです。この妻を守るために、一時的には居住権を認める判例はありますが、これにも限界があります。

   そこで、今回のワーキングチームにおいては、このような配偶者かつ相続人である者が、これまで住んでいた家に住み続けられることを法律的に認める制度をつくることを検討しています。具体的な方法はまだ固まっていませんが、配偶者の居住権を保護する方向で検討されているようです。

   

(2)配偶者の貢献に応じた遺産の分割等を実現するため法定相続分の見直し

   近年は、結婚の態様も様々になってきており、長年連れ添ってきた夫婦もいれば、年齢を重ねた後に再婚した夫婦もいます。また、家庭内での夫婦の協力関係も、家ごとに大きく異なります。このように、夫婦といってもその内実は千差万別です。にもかかわらず、民法上の法定相続分は、配偶者という地位だけに着目しているので、その貢献にかかわらず一律に定めています。このような制度は社会の実情に合わないのではないか、もっと夫婦の実情に合わせた制度にできないのかということで議論がされました。

   そこで提案された案としては、①離婚のときの財産分与のような形で、夫婦の共有財産を清算するという案や、②遺産の属性に応じて法定相続分の割合を変動させるといった案などが検討されました。

   いずれも一長一短ある案ですので、どのような手段となるかはこれから詰めていくことになりますが、これまで一律に決まっていた法定相続分が根本的に変更される可能性があります。

 

 

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