【コラム】葬儀費用について

2015-05-29

1葬儀費用に関するご相談

 「父が死んでしまいましたので、長男である私が喪主として父の葬儀を行うことになりました。葬儀費用として、棺代、葬式場の設営費用、僧侶の読経、火葬費用、納骨代や新しく購入した墓地の対価(150万円)等に合計400万円ほどかかりましたので、私の手持ち資金では足りず、父のタンス預金の現金200万円と香典から100万円を出して支払いました。ところが、他の相続人は、葬儀費用はもっと少なくできたはずであり、父の現金200万円と香典の100万円を、相続財産に持ち戻せと主張しています。私は、合計300万円を持ち戻さなければならないのでしょうか。」

 遺産相続についてご相談を受ける際、併せて相続と密接な関係にある葬儀費用について、このようなご相談を受けることがあります。

 

2葬儀費用に関するポイント

(1)葬儀費用の範囲=「死者を弔うのに直接必要な儀式費用」!

 葬儀費用は、被相続人の死後に発生する費用ですので、被相続人の債務として直接に被相続人の遺産から控除されるということはありません。

 ここで、葬儀費用とは、死者を弔うのに直接必要な儀式費用であると考えられており、棺その他の葬具の代金、葬式場の設営費用、僧侶の読経・宮司の祭祀祈祷、火葬費用、通夜・告別式での参列者の飲食代、納骨代等が含まれます。

他方、新しい墓地を買った場合の墓地の代価や葬儀後の見舞客との食事会等の接待費用については、葬儀費用に含まれないものと考えられています。

本件の場合ですと、新しく購入した墓地の購入費用150万円は葬儀費用に含まれず、葬儀費用の負担の問題とは別に、相談者と他の相続人の間の協議によって清算されるべきものです。

(2)葬儀費用の負担者=原則は喪主!

 葬儀費用の負担者に関して、被相続人の生前の指示や付言事項として遺言に定めがあり、相続人がそれに従う旨の意思表示をしている場合や相続人間の協議によって葬儀費用の負担に関する合意ができている場合には、問題は生じません。

 他方で、相続人間で葬儀費用の負担に関する合意がまとまらない場合に、葬儀費用の負担に関する法律の明文の規定はなく、関連する条文の解釈によることになり、裁判例でも争われてきました。裁判例では、喪主がどのように故人を祭祀するか決定することができる立場にあることから、喪主が葬儀費用を負担すべきであると考えられています。もっとも、喪主を他に引き受ける者がいなかったときに引き受けた者にまで、葬儀費用を負担させることは妥当でないことから、条理を根拠として、事情によっては相続人間で応分に負担させるべきであるという考え方もあります。

(3)葬儀費用の相続人の財産・香典からの支出

 (2)で述べましたとおり、葬儀費用は、原則として喪主が負担すべきものですので、相続人の残した財産を取り崩してその支払いに充てることは、相続人間の協議が整わない限り原則として許されません。

 他方、香典は、相互扶助に基づき遺族の負担を軽くするため、葬儀費用に充てることを目的とした贈与と考えられますので、香典から香典返しを除いた部分を葬儀費用に充当することは当然に認められます。

 したがって、本件では、相談者は、相続人の財産から持ち出した200万円の現金を持ち戻さなければなりません。

(4)まとめ

 葬儀費用は、原則として、喪主が負担すべきものであり、相続人の財産から支出することは許されず、香典と喪主個人の財産によって支出されるべきものです。

 もっとも、相続人間の協議や被相続人が遺言等によって定めることも可能です。

 弁護士にご相談いただければ、死後に無用のトラブルが発生しないように、生前にその内容を盛り込んだ遺言を作成することが可能です。また、仮に遺言等による定めが無い場合であっても、相続人間で協議を行う前段階として、相続費用として計上されている費用が適正な範囲に限定されているか、専門家である弁護士がチェックすることで、無用のトラブルの発生を防止して相続人間の協議がスムーズに進めることもできます。遺言・相続の専門家である弁護士に是非一度ご相談ください。

 

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