【コラム】遺産分割後に当事者の過不足が判明した場合

2015-03-25

 人が亡くなると相続が発生します。相続をすることになると、相続人が複数いる場合、その相続人たちは共同相続人となり、全員で故人の遺産を分けることになります。誰が何をどのくらい相続するかを決める手続きを遺産分割と言います。遺産分割は、多くの場合、まず相続人間で話合い(協議)が行われ、話合いで合意できない場合は、裁判所が関与する「調停」という話合いをします。「調停」でも合意ができない場合には、裁判所での「審判」という手続に移され、裁判所にそれぞれの相続分を判断してもらうことができます。

しかし、遺産分割が終わった後に、協議や調停、審判の当事者が、実は相続の資格がなかったことが発覚することがあります。たとえば、相続人に法律で決められている相続できない理由がある場合や、子とされていた人が、法律上は子でないことが明らかになった場合などが考えられます。

 逆に、遺産分割が終わった後に、協議や審判の当事者が新たに発生したり、発覚することもあります。たとえば、相続開始後に認知によって新たに相続人になった人がいる場合や、遺産分割後に当初からの相続人の存在が明らかになった場合などが考えられます。 

 このような場合に、既に行った遺産分割はやり直しになるのでしょうか。また、相続できるはずの人は、相続できなくなってしまうのでしょうか。

 

1.遺産分割協議や審判の当事者が相続の資格が無かった(無資格者だった)場合

裁判例(東京家審昭和34・9・14、大阪地判平成18.5.15など)では、原則として、無資格者に分割された部分を無効として、その部分について再度分割(該当部分のやり直し)する、無資格者がいなければ分割の結果が大きく異なったであろう特別の事情(無資格者に重要な財産を分割したなど)があるときのみ、例外的に遺産分割協議全体を無効とし、全部を再度分割(全部のやり直し)すべきであるとされています。

 

 2.遺産分割協議や審判後に、新たに当事者が発覚した場合

この場合は、相続開始後に認知によって新たに相続人になった者がいるときと、当初からの相続人の存在が後に発覚したときとが考えられます。

(1)相続開始後に認知によって新たに共同相続人となった者がいるとき

裁判(死後認知の訴え)や、遺言(遺言認知)などで、被相続人(子の親)が死亡した後(相続開始後)でも認知されることはあります。認知されると法律上の子になります。認知され、子となった時点で、すでに他の共同相続人により遺産分割が終了していた場合には、認知された子は、価額による支払、つまり、被相続人の財産に不動産等金銭以外の財産があったとしても、金銭による支払を求めることになります。

ただ、子が認知されたことにより、相続権を失う者が遺産分割により財産を承継していた場合には、現物、つまり不動産等金銭以外の財産の請求ができます。子が認知されたことにより相続権を失う者とは、配偶者以外の相続人です。たとえば、被相続人の直系尊属(父母など)、兄弟姉妹などがこれにあたります。

(2)当初からの共同相続人の存在が後に発覚したとき

このときには、(1)とは異なり、遺産分割時点で他に共同相続人が存在していたのに実際にはその相続人を無視してしまったことになりますから、遺産分割は無効であり、新たに発覚した相続人は、改めて遺産分割を行うことを請求することができます。

 

仮に、遺産分割をやり直すとなると、大変な手間と労力がかかります。遺産分割を始めるにあたっては、慎重に相続人を調査・確定しなければなりません。相続人は戸籍を取得することで判明しますが、戸籍の移動が複数回ある場合や、戸籍に記載されている人が多数いる場合、電子化される前の戸籍が含まれている場合などは、戸籍を見慣れない人にとっては非常に分かりにくいかと思います。その場合には、是非専門家である弁護士にご相談ください。

もし、相続が始まった後に、相続人になったり相続人であることが発覚したりした場合には、話合いで相続分を請求したり、再度の遺産分割をするのは困難なことが多いでしょう。このような場合にも弁護士にご相談下さい。

 

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