【コラム】遺言の撤回

2015-12-01

1 遺言の撤回に関するご相談

「私には、息子が二人います。同居していた長男に体調を崩した際の面倒をみてもらおうと、自宅の土地・建物を相続させる旨の公正証書遺言を作成しました。しかし、長男の浪費癖が発覚して私が注意したところ、長男との仲が険悪になってしまって長男が自宅を飛び出してしまいました。長男が出て行った後、次男が私の面倒を見に帰ってきて熱心に面倒を見てくれたので、次男への感謝の気持ちを込めて自宅の土地・建物を相続させたいと思っています。既に公正証書遺言を作成してしまっていますが、この遺言の内容を変更することはできるのでしょうか。」

遺言に関して、このような遺言の内容を変更したいというご相談をいただくことがあります。遺言の内容を変更したり、無かったことにすることを、遺言の「撤回」と言います。

今回は、遺言の撤回についてご説明させていただきます。

 

2 遺言の撤回

遺言の撤回は、遺言者が自由に行うことができます。そして、遺言を撤回する方法には、①新しく遺言をする方法、②遺言書を破棄したり、遺言により相続させるものを処分したりする方法の2つがあります。

まず、①の方法についてです。

この方法のうちの一つは、前に行った遺言を撤回する旨の遺言をするという方法です。例えば、「遺言者は、平成○年○月○日付で作成した公正証書遺言を全部撤回する。」というような文言の遺言を作成することが考えられます。

もう一つは、後から前に行った遺言と両立しない内容の遺言をする方法です。今回のご相談で考えると、次男へ自宅の土地・建物を相続させる、という遺言をすることになります。これにより、前に行った遺言は撤回されたものとみなされます。

そのため、日付の新しい遺言と日付の古い遺言では日付の新しい遺言が優先されることになりますが、日付の古い遺言の全部が無効になるわけではありません。あくまで、日付の新しい遺言と内容が食い違う部分に限り無効となります。

なお、日付の古い遺言が公正証書遺言である場合でも、新しい遺言は公正証書遺言である必要はなく、自筆証書遺言で行うこともできます。

次に、②の方法についてです。

わざと遺言書を破棄したり、遺言によって相続させるものを破棄・損壊したりすることにより、遺言を撤回したものとみなされます。ただし、公正証書遺言の場合は、公証役場に原本が保管されていますので、その正本や謄本を破棄するだけでは撤回することはできませんので注意が必要です。相続させるものを破棄・損壊するとは、例えば、遺言によって相続させようとしていた壺を破壊してしまうようなことを指します。相続させる対象が消滅してしまえば、その部分に対応する遺言の意味もなくなってしまうので、遺言が撤回されたことになるということです。

 

3 最後に

以上ご説明してきましたとおり、今回のご相談の場合には、次男に自宅の土地・建物を相続させる旨の遺言をすることで、長男に自宅の土地・建物を相続させる旨の遺言を撤回することができます。

前にした遺言の撤回以外にも、前にした遺言からの財産状況に応じた変更や遺言執行者を選任しておきたい、付言事項を追記したい等のご希望がある場合には対応させていただきますので、是非一度弁護士にご相談ください。

以上

 

 

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