【コラム】預貯金の相続

2015-10-28

1、預貯金のご相続

 遺産分割と聞くと、相続人の間で財産の分け方を話し合って、最後に合意書(遺産分割協議書と言います。)を作成することをイメージされる方も多いかと思います。遺産分割とは、亡くなった方(被相続人と言います。)の財産を相続人の間で分割する手続きを言い、相続人の間での話し合いで作成することも出来ますし、それではまとまらない場合には、調停や審判という裁判所を利用した手続きを利用することもできます。

相続の対象となる財産には、土地・建物等の不動産、銀行等の預貯金、宝石や着物等の動産等があります。その中でも、預貯金は、他の財産と異なる特殊な取扱いがされています。

今回は、遺産分割での預貯金の取扱いについてご紹介します。

 

2、預貯金の取扱い

(1)最高裁判所の考え方

 最高裁判所は、預貯金は、相続人間で話合いを行わなくても被相続人が亡くなった場合には当然に分割され、法律で定まった相続分に応じて相続人となる者それぞれに帰属し、それぞれが銀行に対して払戻しを求めることができるという判断を示しています。

 つまり、被相続人Aに子B・Cがいる場合、Aが亡くなると、B・Cが相続人となり、それぞれAの財産について2分の1ずつ相続分を有することになります。Aの自宅の土地・建物については、B・C間でその分割の割合について話し合うことになります。他方で、A名義の預貯金については、B・Cは、銀行に対して、ただちにそれぞれ預貯金の2分の1ずつ払戻しを求めることができることになります。

(2)実務上の取扱い

 以上で説明した最高裁判所の考え方に反するようですが、実際のところ、銀行等の金融機関は、後日になって相続人間のトラブルに巻き込まれるリスクを恐れて、相続人全員の署名押印のある遺産分割協議書等がなければ、預貯金の払戻しに応じません。

 銀行等が預貯金の払戻しに応じない場合には、相続人は、預貯金の支払いを求めるために、銀行に対して払戻しを求める訴訟を提起することが必要です。

 また、最高裁判所の考え方からすると、預貯金は、遺産分割手続きを経ずに各相続人に相続されることになりますので、遺産分割調停・審判においてもその対象にならないはずです。

 しかし、実際のところ、裁判所での遺産分割に関する話合いである遺産分割調停では、預貯金を遺産分割の対象としないという相続人からの申し出がない限り、そのまま分割対象として手続きを進められています。また、遺産分割に関する審判官の判断である遺産分割審判においても、相続人間において、預貯金を分割対象にする旨の合意があれば、その合意に従って審理・審判がなされます。

 

3、最後に

 これまでご説明してきましたとおり、預貯金の遺産分割における取扱いは少し特殊です。この特殊性に応じて、円滑で速やかなご相続を進める上で適切な手続きを選択するためには、遺産分割全体を見通した専門的な判断が必要となります。

 もし、預貯金に限らず、ご相続に関するお困りごとがありましたら、是非一度弁護士にご相談ください。ご相談いただいた方が、速やかにご相続手続きを進められるよう、弁護士が全力でサポートいたします。

以上

 

 

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