【コラム】養子と相続の関係

2015-06-08

-養子も養親の相続人です-

親が亡くなった場合に、子は、親の財産に含まれる一切の権利義務を承継します。これを相続といいます。養子は、養子縁組をすることにより、養親との間に親子関係が生じます。したがって、養子は養親を相続します。養親に実子がいた場合には、養子と実子が同等に相続します。

 

-養子は実親を相続しますか-

では、養子縁組した者は、実親を相続するのでしょうか。

これは、その養子縁組が、特別養子縁組か、普通養子縁組かによって異なります。

 特別養子縁組とは、原則として6歳未満(一定の場合は8歳未満)の者を養子とする縁組で、成立には裁判所の審判が必要です。特別養子縁組をすると、実親との間の親子関係は終了します。

したがって、特別養子縁組をすると、養親が亡くなった場合には相続しますが、実親が亡くなっても実親を相続しません。

 これに対して、普通養子縁組は、養親より年上の者を養子とすることはできませんが、縁組をする際の年齢制限はありません。縁組の手続きも、当事者が養子縁組をする合意をして届出ることで成立します。普通養子縁組をしても実親との間の親子関係は継続しますし、さらに養親との親子関係も発生します。

したがって、普通養子縁組の場合には、養親が亡くなっても実親が亡くなっても、それぞれを相続することになります。

 

-なぜ違いがあるのですか-

特別養子縁組は、実親が子を育てられない場合などに、子に家庭のような養育環境を与えることが念頭に置かれています。そのため、上記のように幼少期のみ縁組が可能であり、実親との親子関係も終了させる仕組みが採られています。身分についての影響が大きいため、手続も家庭裁判所の審判が必要となります。

普通養子縁組は、従来の日本では、高齢の夫婦に跡継ぎとなる子がいない場合や、いわゆる「婿養子」として夫婦の子が女性の場合に、その夫と養子縁組をするなどの場合に使われる例がありました。

このような制度の違いにより、実親との関係が終了するか否かが異なります。ちなみに、相続税の計算上、課税価額から控除される基礎控除額は「3000万円+600万円×相続人数」として計算されますが、養子は何人いても最大2名までしか控除対象となりません(被相続人に実子がある場合の控除対象となる養子は1名までとなっています。)。これは,相続税軽減目的での養子縁組を防止するための制度ですが、特別養子縁組を行った養子については、実子と同様、控除対象となる人数に制限はありません。

 

-妻の姓を名乗ると養子なのですか-

ちなみに、現在の日本では、法律婚をすると、夫婦が共に夫婦のどちらかの姓を名乗ることになります。現状では、妻が夫の姓を名乗ることが多く、夫が妻の姓を名乗るケースでは、夫と妻の親とが養子縁組をする例が多いようです。しかし、もちろん、夫が妻の姓を名乗る場合に養子縁組をしなければならないわけではありません。また、夫が妻の姓を名乗っても、夫と妻の親とが養子縁組をしない限り、妻の親が亡くなった場合に、夫が妻の親を相続することもありません。

 

 養子縁組、特に普通養子縁組の場面では、相続人が増えるため、元々の相続人との間で相続をめぐる紛争が発生することがあります。養子縁組などの身分関係の制度は、分かりにくい部分も多いかと思いますので、専門家である弁護士にご相談ください。

 

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