遺言・相続のよくあるトラブル

【質問】

先日他界した母の遺言が出てきたのですが、兄に全ての財産を相続させるという内容でした。私は母の遺産を一切相続することができないのでしょうか。
父は数年前に他界しており、私は兄と二人兄弟です。

【回答】

人は、死後自分の財産の処分方法を遺言によって自由に定めることができます。しかし、故人(「被相続人」といいます。)の財産に生活を依存している遺族にとっては、被相続人の恣意的な財産処分行為によってその生活が脅かされるなど、ときに相続人にとって酷な結果を招くことにもなりかねません。
そこで、被相続人の処分の自由と相続人の保護との調和を図るために、民法は、相続財産全体の一定割合(「遺留分」といいます。)を一定範囲の法定相続人にだけ留保するという制度を置きました。これを遺留分制度といいます。

遺留分が認められる法定相続人は、被相続人の処分行為(遺言)等によって自己の遺留分が侵害された場合、これを侵害している他の相続人等に対して遺留分減殺請求権を行使して自己に留保されるべき遺留分を取り戻すことができます。

この遺留分が認められる法定相続人は、配偶者、子や孫などの直系卑属、および親・祖父母などの直系尊属です。兄弟姉妹も法定相続人ですが、兄弟姉妹に遺留分は認められていません。相続人全体の遺留分割合についても、民法に定めがあり、直系卑属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1です。配偶者、直系卑属が相続人であるときは、これよりも多く、被相続人の財産の2分の1と決められています。各相続人の遺留分は、遺留分全体に対して各相続人の法定相続分に応じた割合になります。

質問者のケースでは、質問者は被相続人の直系卑属ですので遺留分が認められ、相続人はお兄さんと質問者のみのようですので、民法上認められる遺留分全体の割合は被相続人の財産の3分の1となります。お兄さんと質問者は兄弟で等しい割合で法定相続分が認められますので(2分の1ずつ)、この法定相続分に応じて算出される質問者の遺留分は被相続人の財産の6分の1(全体財産の3分の1×質問者の法定相続分2分の1)ということになります。そうすると、この度の遺言の内容は質問者の遺留分を侵害しているといえますので、質問者は自己の遺留分を侵害するお兄さんに対して遺留分減殺請求権を行使し、ご自分の遺留分(被相続人の財産の6分の1)を取り戻すことができます。

 

【質問】

私は父が他界してから10年以上にわたって身体の自由がきかない母の介護をしつつ、母との同居生活を送ってきました。私には姉と妹がおりますが、姉や妹はほとんど母に顔を見せることもなく、母の面倒は全て私に任せきりでした。
先日、その母が他界したのですが、葬儀の後、姉と妹から母の遺産は平等に分けようと言われました。遺言はないようなのですが、母の遺産はやはり姉妹で平等に分けなければいけないのでしょうか。

【回答】

民法は、質問者のケースのように被相続人の生前に療養看護をするなどして被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人等(寄与者)がいる場合、法定相続による相続人間の不公平を是正するために、そのような相続人等による寄与を相続においても考慮する規定を設けています。これを寄与分制度といいます。

寄与者がいる場合には、その寄与分を金銭的に評価したうえで、相続財産からその寄与分を控除したものを相続財産とみなして各相続人の相続分を計算します。そして、寄与者は自己の相続分に加えてその寄与分を取得することができますので、質問者のケースでは、この寄与分を主張することによって、他の相続人との間の不公平感を是正できる可能性があるといえるでしょう。

なお、寄与分の金銭的評価の方法については、相続人の協議で自由に決めることができますが、この協議がまとまらない場合には、家庭裁判所の調停や審判で決めることになります(民法904条の2第2項)。

 

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